2023年3月30日(木曜)、第30回カジュアルコンサートが、吹田市文化会館メイシアター大ホールにて開催されました。
今回のカジュコンは、高槻現代劇場大ホールの建て替え工事のため、カジュコン史上初めて高槻を離れ、吹田メイシアターでの開催となりました。
また今回は、結成以来35年以上の長きに渡り吹奏楽部を見守ってこられた武部泰男先生のラストコンサートともなりました。
メイシアターといえば、同窓生の中にはコンクールの思い出がある方も多いかと思います。
個人的には、私が中1の時の夏のメイシアター、先輩方がコンクール初出場を果たされた時の光景が強く印象に残っています。1988年(昭和63年)、吹奏楽同好会結成1年目の夏のことでした。
あれから35年、当時はまだ生まれていなかった後輩達が、同じ場所で30回目の節目となるカジュコンを立派に開催する事に、当時に思いを馳せつつ、メイシアターの外観を眺めながら一人感慨に耽っていました。
…話を戻します。
当日は好天に恵まれ、春の暖かい日差しが降り注ぐ一日となりました。
現役生達は10時に学校に集合。程なく到着した4tトラック2台に、手分けして楽器を積み込み、メイシアターへの出発の準備に入ります。
メイシアターの使用開始が13時からのため、当初予想していたよりもゆっくりめのスタートですが、反面、会場入りしてから18時開演までのスケジュールはタイトです。
その後、昼食を済ませた現役生達が、パート別行動で続々とメイシアターに到着。例年より早く満開になった桜が現役生達を迎えます。トラックが到着すると、現役生達は荷物を楽屋に置き、次々と楽器をホールに搬入していきました。
そして、予定の14時過ぎからリハーサル開始。例年通りⅡ→Ⅲ→Ⅰ部の順に進み、曲や進行の最終確認を、裏方の同窓生やホールのスタッフの方と行います。
慣れ親しんだ高槻現代劇場とは動線や勝手が違うため、うまくリハーサルが運ぶか心配していましたが、現役生達はすぐに適応し、リハーサルは概ね順調に進みました。
リハーサル終了後、現役生たちは大急ぎで軽食のサンドウィッチを食べ、本番に備えていました。
裏方の同窓生ですが、今回ステマネを務める同窓生のOさんを中心に、主に「ステマネ・黒子班」と「受付班」とに分かれ、お手伝いをさせて頂きました。
Oさん始め、高校3年生や若手同窓生の皆さんは、臨機応変かつ丁寧な仕事ぶりで、後輩たちの演奏会を献身的にサポートするその姿には頭が下がる思いがしました。我々年配組(?)の同窓会役員も各所に散り、お手伝いをさせて頂きました。
入口では、開場前からお客様が集まり始め、17時過ぎにはかなりの列になっていましたが、リハーサル終了が17:15頃と押していたため、開場時刻は予定通り17:30とさせて頂きました。
そして、ほぼ定刻の18時過ぎにコンサートが開演。
Ⅰ部は、
《五月の風》
《In All Its Glory》
《エル・カミーノ・レアル》
の3曲。
《五月の風》は、1997年の吹奏楽コンクールの課題曲で、オープニングに相応しいコンサートマーチ。
《In All Its Glory》は、高校2年生の指揮による演奏です。練習から生徒が中心となって曲を作り上げ、本番に臨みました。
《エル・カミーノ・レアル》は、カジュコンでは第1回と第26回で演奏したことがあります。時代を越えて演奏されるA.リードのこの名曲は、今後も折に触れて演奏されることでしょう。
Ⅱ部は、例年と同じく劇と曲の融合ステージ。今年の劇は、歌の上手な少女ウタが音楽の聖地に向け航海に出て、世界一の歌姫になることを目指す物語です。
それに合わせて、
《「新時代」メドレー》
《ダンスホール》
《ミックスナッツ》
《ディズニー・ファンティリュージョン!》
の4曲を演奏。下級生達は後ろで水兵さんの帽子などを被ってステージを盛り上げます。
カジュコンの個人的な楽しみの一つが、Ⅱ部の高校2年生による劇です。時事ネタや流行りを取り入れた構成に、古いOBの私はいつも感心(密かに勉強)させられますが、今年はストーリー性も前面に出ており、主人公ウタが成長していく様子が、主役始め生徒の皆さんの好演により上手に描かれていました。
ただそこは関西のノリ。笑いをとることももちろん忘れてはいません。今年も随所で客席から笑いが起こり、会場を沸かせていました。
そんなリラックスした雰囲気でお客様にコンサートを楽しんでいただく、Ⅱ部はまさにカジュアルコンサートの名に相応しいステージではないかと思っています。
Ⅲ部1曲目は、プログラムには載っていませんが、《弦楽のための三楽章》。Cl4人、BassCl1人、St.bass1人の6人編成で、大阪府アンサンブルコンテストで演奏された曲を披露します。
2曲目の《「中国の不思議な役人」組曲》演奏後、引退する高校2年生に花束贈呈が行われました。今回のプレゼンターは全員下級生が務め、舞台上で一斉に贈呈する形が採られました。
今年の高校2年生は、中学2年の3学期からコロナ禍に見舞われました。思うように活動出来ない時期もあったかと思いますが、そんな制約の中で粘り強く最後まで頑張ったと思います。
メイン《バレエ組曲「青銅の騎士」より》とアンコール1曲目《さくらのうた》は、役目がありほとんど聴くことが出来ませんでしたが、バックヤードにも大きな拍手は届いており、コンサートが最終章に向けて盛り上がっていく雰囲気を感じ取ることが出来ました。
そしていよいよアンコール2曲目《U.S.マーチ》。下村先生と指揮を交代し、武部先生がご登場。顧問生活36年最後の指揮が始まりました。
それと察した観客の皆様から手拍子が発生、その日一番の盛り上がりと歓声で、演奏が終わった瞬間は、ホール全体に割れんばかりの拍手が響き渡りました。
演奏直後、武部先生へのサプライズ花束のプレゼンターは、西村了然先生(吹奏楽同好会結成時の顧問)と、吹奏楽部同窓生のSさんのお母様(コールさわらぎで長らくご親交あり)のお二人にお願い致しました。
花束を受け取られた武部先生の目には光るものが見えたように思います。舞台袖では、サポートの同窓生も涙顔です。客席の同窓生の皆様も同様の思いだったのではないでしょうか。私も感謝の気持ちを込め、ずっと拍手を送り続けました。
終演後、舞台片付けと楽器の搬出を急ぎますが、高校2年生は、エントランスでお客様のお見送りです。
今まで心に留めていた思いが、家族の方や友人達の顔を見た途端に溢れだします。あちこちで顔をくちゃくちゃにしながら抱き合う光景は、何度見ても感動的です。
それに今年はもう一つ、武部先生の周りに数十名の同窓生の人だかりが出来ていました。上は吹奏楽部2期生から下は同34期生まで、幅広い年代の同窓生が武部先生のラストステージに駆け付け、先生に感謝の気持ちを伝えます。武部先生も久しぶりの教え子達との再会に頬が緩みます。
最後は先生を囲んでの撮影会で大いに盛り上がっていました。
ホール撤収後は、同窓会役員の車に武部先生with花束をお乗せして、楽器片付けのお手伝いのため、学校まで一緒に戻りました。
車内には、本番を終えた安堵感がもたらす独特の空気が流れます。
そんな中、先生は、
「◯◯(OB)は今どうしてる?」
「最近は車でスーパーに買い物に行ったりしてるねん」
など、普段と変わらない話をされていました。
あまりに普段と変わらない会話の中で、ふと今日で武部先生はラストなのだという現実がよぎるものの未だに実感が湧かず、先生と何を話そうかと思いを巡らせているうちに、あっという間に八丁畷の交差点を通過、22時過ぎに学校に到着しました。
学校での積み降ろしは、先発の同窓生が早めに到着できたため、現役生の到着までにほとんど終えることが出来ており、目標の22:30までに全ての楽器を音楽室まで運び入れる事が出来ました。
最後に、音楽室にて部長さんの挨拶と下村先生のお言葉があり、その場で解散、第30回カジュアルコンサートは無事幕を降ろしました。
翌31日には反省会と卒部式が行われ、令和4年度の部活動が終了、4月からは新体制で部活動が始まっています。
なお、次回第31回のカジュコンは、2024年3月27日(水曜)の予定です。
場所は、高槻城公園芸術文化劇場(南館)トリシマホール。旧大ホールのすぐ南側に2023年春に竣工した、収用人数1,500人の大ホールです。
高槻現代劇場中ホールから始まったカジュコンは、旧大ホールを経て、新しく完成したトリシマホールへと歴史の糸を紡いでいきます。
今後の吹奏楽部ですが、武部先生のご勇退をうけて、クラブの体制や運営方法・雰囲気も少し変わってくるかと思います。我々同窓会は、下村先生や現役生達と連絡を取りながら、今後とも現役生の活動に資するサポートを行っていきたいと思っております。
〈武部先生ご勇退〉
武部先生は、2023年3月31日をもって、高槻高校を完全に退職され、吹奏楽部からも勇退されました。
実は、先生からは度々「最後はひっそりと消えていくから、花束とか本当に何もしなくていいから」と強く念押しされていました(←当日の朝まで)。カジュコンはあくまで「生徒達が主役」との先生らしいお気遣いだったかと思います。
ただ、先生のラストステージにあたり、最後に何もなくひっそりと送り出すのはあまりにも寂しいと考え、先生のご意向とは違ったかもしれませんが、《U.S.マーチ》の指揮と花束贈呈の計画を、関係各所(?)と調整の上、水面下で進め、本番では特大サイズの花束を贈らせて頂きました。
現役生84名・同窓生約400名を始め、武部先生にお世話になった総ての方々の思いがこもった花束、後日、「最後のサプライズもちょっとビックリしましたが、ありがたいことでした。」とお礼のご連絡を頂きました。
最後までハラハラさせる教え子達で申し訳ありません!
退職されたとはいえ、先生が我々の恩師であることに変わりはありません。今まで我々を見守って下さり本当にありがとうございました。同窓生一同感謝の気持ちでいっぱいです。
また何かとお世話になることもあると思いますが、その時は宜しくお願い致します!
【文責】
中村大介
(1994年卒業46期・吹奏楽部第5期生)
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